つまらない授業
教師のうるさい説教
親の意味の無い叱責
いつもと同じ日常
俺は何のために生きてるんだ・・・・・・?
人生の意義を見失いそうになるぐらい退屈な毎日に
俺は何かで一矢報いたい
まぁその何かが何なのかは今のところ不明だが・・・・・・
「よう、真音!お?今日はいつにも増して不機嫌だな。」
「話しかけないでくれ・・・・・・今の俺はお前とは次元の違う生き物なのだ。」
「何言ってんだお前?」
この朝にも関らずうざいテンションで話しかけてくる生物の名は一成
いかにも単細胞生物らしい名前だ
「お前いつもそんな不機嫌な顔してて疲れないのか?」
「ほっとけ。俺は生まれた時からこの顔だ。」
「それもそうだな!」と大声で一成が笑う
俺もこんなアホに生まれてきたらどれだけ人生が楽だったろうか・・・・・・
そんなことを考えつつ歩いていると
「一成〜」と遠くから甲高い女の声が聞こえる
「お?わりぃ。香苗に呼ばれてるから行くな。んじゃ!」
そう言うと一成は自分の彼女のもとへと走り去っていった
嬉々として走り去る一成の背中を眺めつつ空想に耽る
そういえば俺は彼女が出来たことがないな
しかも告白した事もされた事もない・・・・・・
・・・・・・・・・
他人と恋愛感情を共有するのってどんな気持なんだろうか?
そう、俺は恥ずかしながら高2にしてまだ恋愛というものをしたことがない
多分すべてのことに対して斜に構えてないと気がすまない性格が災いしているのだろう
ただ恋愛には人一倍興味があった
出来る事なら高校を卒業する前に恋愛をしてみたいものだが・・・・・・
そうして空想に耽っているうちにいつの間にやら教室に着いていた
何故この集中力を他の分野に生かせないのだろうかと苦笑いしつつ席に着く
何気なく机の中に手を伸ばすと手紙が入っていた
封を空け呼んでみる
「ここラブレターの中身」
・・・・・・・・・
こ、これは・・・・・・・・・
もしや・・・・・・らぶれたーとかいうやつか・・・・・・?
俺に・・・・・・?
はっ!どっきりか!?
辺りを見回しても誰もこちらの方を見てくすくす笑いはしていない
とすると・・・・・・これはもしや本物なのか・・・・・・?
だとしたら誰が・・・・・・
いや、余計な詮索は無用だ
今日の放課後に体育倉庫裏に行けば真相はすべてわかる
しかし・・・・・・
ついに来たか
俺の恋の季節が!
「何ニヤついてんだよ?」
誰かの声が空想彼女との楽しいカップル生活を夢見ている俺を現実に引き戻す
一成だ・・・・・・
この単細胞生物は俺の空想の邪魔をするのが好きらしい
「ほっとけ。俺は生まれた時からこういう顔だ。」
「お前、朝と同じ台詞言う割には顔が全然違うじゃねぇか!」
「そうか?」
「そうだよ!!」
キーンコーンカーンコーン
朝のチャイムが鳴る
「ほら早く座れ〜チャイム鳴ってるだろ。」
担任が入ってきた
一成は急いで自分の席に向かう
ふぅ・・・・・・
邪魔者はいなくなった
やっとゆっくり空想に耽れる
俺にとって授業など空想の時間に過ぎない
しかも今日は放課後に大イベントが待ち構えている
自ずと空想も集中力が増す
気付いたら放課後になっていた
俺はどうやって今日を過ごしたんだ?と思い鞄の中から弁当を取り出す
案の定、一口も手を付けてなかった
どうりで腹が空いているわけか
だが弁当を食べている暇はない
俺は真相を確かめに行かなければならないのだ
天国か地獄か
まぁドッキリだったところで普段と変わらない感じを装えば何も恥ずかしい事はない
逆にドッキリを仕掛けた奴等が虚しくなるだけだ
そう自分に言い聞かせたところで足は振るえ心臓は破裂しそうなぐらい鼓動をしている
告白される方も緊張するんだな・・・・・・
そうこうしているうちに体育倉庫の裏についた
まだ彼女は来ていないようだ
今のうちに緊張をほぐしておこう
すー
はー
すー
はー
ふぅ・・・・・・
よっしゃ!どっからでもかかってこいや!
そう決意した矢先に後ろから不意打ちを食らった
「竹内センパイですよね・・・・・・?」
声に反応し振り向こうとすると「そのままで聞いてください!」と制止された
素直に従い後ろ向きのまま話しかける
「君か?俺にあの手紙を書いたのは。」
「・・・・・・はい」
「それでセンパイ・・・・・・もしよろしかったらお付き合いしてもらえませんか・・・・・・?」
「まだ俺は君の顔も名前も学年も知らないんだ。返事をする前に君の事を教えてくれないか?」
「やっぱりそうですよね・・・・・・」
「名前は長谷川薫といいます。学年は1年です・・・・・・」
「そうか・・・・・・薫ちゃん、もう振り返ってもいいかい?」
決心したらしい
「・・・・・・・・・どうぞ」
振り向くとそこには可愛らしい女の子が・・・・・・
・・・・・・・・・
女の子が・・・・・・・・・?
へ・・・・・・・・?
顔立ちは可愛らしい女の子なのだが妙な点がある
男子用の制服を着ている事だ
「あの・・・・・・薫ちゃんって・・・・・・」
「はい、ご覧の通り男です・・・・・・」
「へ・・・・・・・・・?」
「ごめん・・・・・・俺全くこの状況を理解できないんだけど・・・・・」
「僕は体は男ですが、心は乙女です!センパイ・・・・・・僕と付き合ってもらえませんか!?」
「ご、ごめん・・・・・・俺そっちの趣味ないんだ・・・・・・」
「そんなのセンパイにあったら同性愛になっちゃうじゃないですか!」
「そ、そんなものなのか・・・・・・?」
「はい!そんなものです!」
「それでセンパイ・・・・・・返事の方は・・・・・・」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!一晩俺に時間をくれ!家に帰ってゆっくり考えたいんだ・・・・・・」
「はい!僕センパイのためならいくらでも待ちます!」
「あ、ありがとう・・・・・・」
「それじゃあセンパイ!明日の放課後にまたここに来てください!」
「わ、わかった・・・・・・」
「じゃ!さようなら!」
「お、おう・・・・・・」
薫は小走りで帰っていった
・・・・・・・・・
授業中に何回もシュミレートしたが・・・・・・
さすがにこのパターンは考えてなかった・・・・・・
俺はどうすればいいんだ・・・・・・?
・・・・・・・・・
ひとまず家に帰ろう・・・・・・
ここにいても埒が明かない・・・・・・
家に帰ろうと歩みだした時、遠くから甲高い女の声が聞こえた
「お!真音君じゃん!何してんの?」
「あ・・・・・・香苗さん」
「どうしたのこんな所で?」
「いや、色々ありましてね・・・・・・」
この人は花村香苗
ご存知の通り一成の彼女で俺らより一つ年上だ
あ、そうだ・・・・・・
この人なら良いアドバイスをくれるかもしれない
「香苗さんって口堅いですよね?」
「どうしたの、急に?」
「実はさっき・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・
「じゃあ真音くん男の子に告られたわけ!?」
「・・・・・・はい」
「へ〜・・・もてもてだね〜」
「やめて下さいよ・・・・・・」
「で、どんな子?」
「いや、顔は女の子と比較しても可愛いぐらいなんですよ・・・・・・」
「え〜じゃあいいじゃん!付き合っちゃいなよ!」
「でも男ですよ!」
「そんなの関係ない!愛に性別なんてノープロブレム!」
「ひとごとだな〜・・・・・・」
「でも本当だよ。私だって昔レズビアンの女の子とつき合ったことあるもん」
「え!?まじっすか!?」
「まじっすよ!でもこれ一成には内緒ね」
「で、どうだったんですか?」
「いや〜その子が可愛い子でねぇ〜私の事お姉さまって呼ぶんだよ!」
「そんなのアニメの世界じゃないですか!」
「でも結局別れちゃったんだけどね・・・・・・」
「え、なんでですか?」
「こんな関係良くないよねって二人で話し合ってね・・・・・・」
「香苗さん、今良くない関係を俺に勧めてませんでした?」
「でもすごい良い経験だったと思うよ。」
「そうですか・・・・・・」
「まぁこれも人生経験だと思って付き合っちゃいな!!」
「はぁ・・・・・・考えときます・・・・・・」
「それじゃ!私部活の途中だから!」
「あ、はい。ありがとうございました。」
「なんのなんの。若者よ大いに悩め!」
豪快に笑いながら香苗さんは去っていった
まるで台風のような人だ・・・・・・
だけどその台風に巻き込まれたおかげで大分考えが落ち着いてきた
ありがとう 香苗さん
よし・・・・・・
帰るか!
昨日の事が夢みたいに感じる
が、しかしこれは現実だ
今日俺は告白の返答をしなければならない
男に・・・・・・・・・
昨日家に帰って寝ずに悩んだが答えは出なかった
出る気配すらなかった・・・・・・
「よう、真音!お?今日は何か悩み事がありますって顔だな。」
「わかるか・・・・・・?」
「おう!男の子に告白されてどうしよう!って顔してる。」
「・・・・・・・・・香苗さんから聞いたのか・・・・・・?」
「おう!」
あの人は・・・・・・・・・悪魔か?
「んで、どうすんのよ?」
「わかんねぇな・・・・・・お前ならどうする?」
「僕ちんは普通の女の子の彼女がいるも〜ん」
こいつ・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・
「頼む・・・・・・頼むから死んでくれ・・・・・・」
「おい!怖えな!」
「俺は真剣に悩んでるんだよ・・・・・・」
「そうだな〜・・・・・・俺なら断るかな・・・・・・?」
「何で・・・・・・?」
「何でって聞き返してくるお前が怖い・・・・・・だって男だぜ!?」
「でも、顔は香苗さんよかよっぽど可愛いぜ?」
「嘘つけ!香苗より可愛い生物はこの世に存在しねぇ!!」
「気持悪っ!」
「うるせぇよ!だけどホントのことだからしょうがない・・・・・・」
真剣にこんな事が言えるこいつがある意味うらやましい
いや、でもなりたくは無いな・・・・・・・・・
キーンコーンカーンコーン
突然予鈴が鳴り響く
「やべぇ!もうこんな時間か!」
一成は物凄いスピードで走り出していく
俺も急がねば・・・・・・
しかし体が言う事を聞かない
睡眠不足がモロに体にきている
ふらふらしながら走っていると、誰かが俺の手を引っ張っていく
「センパイ!急がないと遅刻しますよ!」
「薫!?」
「ほら早く!」
俺の手を引き颯爽と走る薫の横顔は・・・・・・とても可憐だった
・・・・・・・・・男だけど
「ここでお別れですね」
「そうだね・・・・・・うん、じゃあ!」
「あ、はい!ところでセンパイ今日の放課後のこと・・・・・・忘れないで下さいね」
「あ、うん。それじゃ!」
・・・・・・・・・
まだつないだ手のぬくもりが残っている・・・・・・
・・・・・・・・・
あぶねぇ!今、一瞬恋に落ちかけた!!
おい!しっかりしろ真音!あいつは男だぞ!
いや、でも愛に性別なんてノープロブレムって香苗さんも言ってたし・・・・・・
「おい、竹内!早く教室入れ!もうチャイム鳴ってるだろうが!!」
「あ、すいません・・・・・・」
慌てて教室に入る
折角間に合ったのに・・・・・・
ぼうっとしていたせいで担任に怒られてしまった・・・・・・
「真音くんが遅刻なんて珍しいね」
席に着くと隣の席の、美作が話しかけてきた
「・・・・・・まぁ色々あってね・・・・・」
「男の子に告白されたり?」
・・・・・・・・・凍りつく
美作の満面の笑みも目に入らない
「誰から聞いたの・・・・・・?」
「香苗先輩から!」
あの人は・・・・・・・・・悪魔だ
「で、どうするの?」
「まだ、わかんないよ・・・・・・」
「うち的には、付き合って欲しいかな!そういうの好きだし」
そう、この美作という女は俗に言う腐女子というやつで、BL(ボーイズラブ)が大好きなのだ
「めちゃくちゃ他人事だな・・・・・・」
「うん!だって他人事だもん!」
なんで俺の周りは・・・・・・
死んで欲しい人間ばかりなのだろう・・・・・・
あっという間に放課後が来てしまった
まだ結論は出ていない
というか、昨日一日悩んで出せなかったものを学校にいる数時間で出そうなんて考えが甘かった・・・・・・
やっぱあの作戦でいくかな・・・・・・・・・
ちょっとせこいが効果的な引き伸ばし作戦
題して「まだ君の事よく知らないからお友達から始めましょう」作戦
うん・・・・・・
これしかないよね・・・・・・
いや、だがあっちが俺のことをずっと好きでいてくれるという確証はない
お友達から始めてる間に薫が他の人を好きになるという可能性がある・・・・・・
どうする・・・・・・
俺はどうすればいいんだ・・・・・・
正直、今現在俺としては薫と付き合ってもいいかなという気分だ
だがしかし、俺にも世間体というものがある
男と付き合っているなんて知られたら・・・・・・
もう学校にはいられない・・・・・・
・・・・・・・・・
もうこんな時間か・・・・・・
行かなくては・・・・・・
体育館裏に着いたのだが、そこはいつものジメッとした空間では無かった
薫が空を見上げ佇んでいる
ただこれだけで、体育館裏は絵画の中から飛び出してきたような雰囲気になっていた
俺は、不覚にも見とれてしまった
俺の存在に気付いた薫が声を発す
「センパイ!居るんなら声かけて下さいよ!」
「あ、ああ。悪い。」
「・・・・・・それでセンパイ・・・・・・返事の方は・・・・・・」
・・・・・・・・・
さっき考えたとおり、引き伸ばし作戦でいこうと思った瞬間
今朝の薫の横顔を思い出す
そして先程の光景が頭をよぎる
・・・・・・・・・
「・・・・・・付き合ってもいいかな」
「・・・・・・・・・え?」
「付き合っても・・・・・・いいよ。」
「・・・・・・・・・ホントですか!?」
「うん・・・・・・ホントだ」
「ホントにホントですか!?」
「ホントにホントだ!」
薫が泣き崩れる
「お、おい!大丈夫!?」
「・・・・・・センパイと付き合えるのが嬉しくて・・・・・・」
薫は涙を拭いながら言う
「もう大丈夫です!センパイ、これからよろしくお願いします!」
「うん!こちらこそよろしく」
つまらない授業
教師のうるさい説教
親の意味の無い叱責
いつもと同じ日常
未だに人生の意義なんてものはさっぱりだ
だけどこのありふれた日常を好きな人と過ごせることはとても幸せである事は確かだ
・・・・・・それが男だとしてもだ!
「センパ〜イ」
遠くから薫の声が聞こえる
「わりぃ一成!薫に呼ばれてるから!んじゃな!」
多分俺の薫の元へ走り行く姿はみんなの目に嬉々としているように映っているだろう
教師のうるさい説教
親の意味の無い叱責
いつもと同じ日常
俺は何のために生きてるんだ・・・・・・?
人生の意義を見失いそうになるぐらい退屈な毎日に
俺は何かで一矢報いたい
まぁその何かが何なのかは今のところ不明だが・・・・・・
「よう、真音!お?今日はいつにも増して不機嫌だな。」
「話しかけないでくれ・・・・・・今の俺はお前とは次元の違う生き物なのだ。」
「何言ってんだお前?」
この朝にも関らずうざいテンションで話しかけてくる生物の名は一成
いかにも単細胞生物らしい名前だ
「お前いつもそんな不機嫌な顔してて疲れないのか?」
「ほっとけ。俺は生まれた時からこの顔だ。」
「それもそうだな!」と大声で一成が笑う
俺もこんなアホに生まれてきたらどれだけ人生が楽だったろうか・・・・・・
そんなことを考えつつ歩いていると
「一成〜」と遠くから甲高い女の声が聞こえる
「お?わりぃ。香苗に呼ばれてるから行くな。んじゃ!」
そう言うと一成は自分の彼女のもとへと走り去っていった
嬉々として走り去る一成の背中を眺めつつ空想に耽る
そういえば俺は彼女が出来たことがないな
しかも告白した事もされた事もない・・・・・・
・・・・・・・・・
他人と恋愛感情を共有するのってどんな気持なんだろうか?
そう、俺は恥ずかしながら高2にしてまだ恋愛というものをしたことがない
多分すべてのことに対して斜に構えてないと気がすまない性格が災いしているのだろう
ただ恋愛には人一倍興味があった
出来る事なら高校を卒業する前に恋愛をしてみたいものだが・・・・・・
そうして空想に耽っているうちにいつの間にやら教室に着いていた
何故この集中力を他の分野に生かせないのだろうかと苦笑いしつつ席に着く
何気なく机の中に手を伸ばすと手紙が入っていた
封を空け呼んでみる
「ここラブレターの中身」
・・・・・・・・・
こ、これは・・・・・・・・・
もしや・・・・・・らぶれたーとかいうやつか・・・・・・?
俺に・・・・・・?
はっ!どっきりか!?
辺りを見回しても誰もこちらの方を見てくすくす笑いはしていない
とすると・・・・・・これはもしや本物なのか・・・・・・?
だとしたら誰が・・・・・・
いや、余計な詮索は無用だ
今日の放課後に体育倉庫裏に行けば真相はすべてわかる
しかし・・・・・・
ついに来たか
俺の恋の季節が!
「何ニヤついてんだよ?」
誰かの声が空想彼女との楽しいカップル生活を夢見ている俺を現実に引き戻す
一成だ・・・・・・
この単細胞生物は俺の空想の邪魔をするのが好きらしい
「ほっとけ。俺は生まれた時からこういう顔だ。」
「お前、朝と同じ台詞言う割には顔が全然違うじゃねぇか!」
「そうか?」
「そうだよ!!」
キーンコーンカーンコーン
朝のチャイムが鳴る
「ほら早く座れ〜チャイム鳴ってるだろ。」
担任が入ってきた
一成は急いで自分の席に向かう
ふぅ・・・・・・
邪魔者はいなくなった
やっとゆっくり空想に耽れる
俺にとって授業など空想の時間に過ぎない
しかも今日は放課後に大イベントが待ち構えている
自ずと空想も集中力が増す
気付いたら放課後になっていた
俺はどうやって今日を過ごしたんだ?と思い鞄の中から弁当を取り出す
案の定、一口も手を付けてなかった
どうりで腹が空いているわけか
だが弁当を食べている暇はない
俺は真相を確かめに行かなければならないのだ
天国か地獄か
まぁドッキリだったところで普段と変わらない感じを装えば何も恥ずかしい事はない
逆にドッキリを仕掛けた奴等が虚しくなるだけだ
そう自分に言い聞かせたところで足は振るえ心臓は破裂しそうなぐらい鼓動をしている
告白される方も緊張するんだな・・・・・・
そうこうしているうちに体育倉庫の裏についた
まだ彼女は来ていないようだ
今のうちに緊張をほぐしておこう
すー
はー
すー
はー
ふぅ・・・・・・
よっしゃ!どっからでもかかってこいや!
そう決意した矢先に後ろから不意打ちを食らった
「竹内センパイですよね・・・・・・?」
声に反応し振り向こうとすると「そのままで聞いてください!」と制止された
素直に従い後ろ向きのまま話しかける
「君か?俺にあの手紙を書いたのは。」
「・・・・・・はい」
「それでセンパイ・・・・・・もしよろしかったらお付き合いしてもらえませんか・・・・・・?」
「まだ俺は君の顔も名前も学年も知らないんだ。返事をする前に君の事を教えてくれないか?」
「やっぱりそうですよね・・・・・・」
「名前は長谷川薫といいます。学年は1年です・・・・・・」
「そうか・・・・・・薫ちゃん、もう振り返ってもいいかい?」
決心したらしい
「・・・・・・・・・どうぞ」
振り向くとそこには可愛らしい女の子が・・・・・・
・・・・・・・・・
女の子が・・・・・・・・・?
へ・・・・・・・・?
顔立ちは可愛らしい女の子なのだが妙な点がある
男子用の制服を着ている事だ
「あの・・・・・・薫ちゃんって・・・・・・」
「はい、ご覧の通り男です・・・・・・」
「へ・・・・・・・・・?」
「ごめん・・・・・・俺全くこの状況を理解できないんだけど・・・・・」
「僕は体は男ですが、心は乙女です!センパイ・・・・・・僕と付き合ってもらえませんか!?」
「ご、ごめん・・・・・・俺そっちの趣味ないんだ・・・・・・」
「そんなのセンパイにあったら同性愛になっちゃうじゃないですか!」
「そ、そんなものなのか・・・・・・?」
「はい!そんなものです!」
「それでセンパイ・・・・・・返事の方は・・・・・・」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!一晩俺に時間をくれ!家に帰ってゆっくり考えたいんだ・・・・・・」
「はい!僕センパイのためならいくらでも待ちます!」
「あ、ありがとう・・・・・・」
「それじゃあセンパイ!明日の放課後にまたここに来てください!」
「わ、わかった・・・・・・」
「じゃ!さようなら!」
「お、おう・・・・・・」
薫は小走りで帰っていった
・・・・・・・・・
授業中に何回もシュミレートしたが・・・・・・
さすがにこのパターンは考えてなかった・・・・・・
俺はどうすればいいんだ・・・・・・?
・・・・・・・・・
ひとまず家に帰ろう・・・・・・
ここにいても埒が明かない・・・・・・
家に帰ろうと歩みだした時、遠くから甲高い女の声が聞こえた
「お!真音君じゃん!何してんの?」
「あ・・・・・・香苗さん」
「どうしたのこんな所で?」
「いや、色々ありましてね・・・・・・」
この人は花村香苗
ご存知の通り一成の彼女で俺らより一つ年上だ
あ、そうだ・・・・・・
この人なら良いアドバイスをくれるかもしれない
「香苗さんって口堅いですよね?」
「どうしたの、急に?」
「実はさっき・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・
「じゃあ真音くん男の子に告られたわけ!?」
「・・・・・・はい」
「へ〜・・・もてもてだね〜」
「やめて下さいよ・・・・・・」
「で、どんな子?」
「いや、顔は女の子と比較しても可愛いぐらいなんですよ・・・・・・」
「え〜じゃあいいじゃん!付き合っちゃいなよ!」
「でも男ですよ!」
「そんなの関係ない!愛に性別なんてノープロブレム!」
「ひとごとだな〜・・・・・・」
「でも本当だよ。私だって昔レズビアンの女の子とつき合ったことあるもん」
「え!?まじっすか!?」
「まじっすよ!でもこれ一成には内緒ね」
「で、どうだったんですか?」
「いや〜その子が可愛い子でねぇ〜私の事お姉さまって呼ぶんだよ!」
「そんなのアニメの世界じゃないですか!」
「でも結局別れちゃったんだけどね・・・・・・」
「え、なんでですか?」
「こんな関係良くないよねって二人で話し合ってね・・・・・・」
「香苗さん、今良くない関係を俺に勧めてませんでした?」
「でもすごい良い経験だったと思うよ。」
「そうですか・・・・・・」
「まぁこれも人生経験だと思って付き合っちゃいな!!」
「はぁ・・・・・・考えときます・・・・・・」
「それじゃ!私部活の途中だから!」
「あ、はい。ありがとうございました。」
「なんのなんの。若者よ大いに悩め!」
豪快に笑いながら香苗さんは去っていった
まるで台風のような人だ・・・・・・
だけどその台風に巻き込まれたおかげで大分考えが落ち着いてきた
ありがとう 香苗さん
よし・・・・・・
帰るか!
昨日の事が夢みたいに感じる
が、しかしこれは現実だ
今日俺は告白の返答をしなければならない
男に・・・・・・・・・
昨日家に帰って寝ずに悩んだが答えは出なかった
出る気配すらなかった・・・・・・
「よう、真音!お?今日は何か悩み事がありますって顔だな。」
「わかるか・・・・・・?」
「おう!男の子に告白されてどうしよう!って顔してる。」
「・・・・・・・・・香苗さんから聞いたのか・・・・・・?」
「おう!」
あの人は・・・・・・・・・悪魔か?
「んで、どうすんのよ?」
「わかんねぇな・・・・・・お前ならどうする?」
「僕ちんは普通の女の子の彼女がいるも〜ん」
こいつ・・・・・・死ねばいいのに・・・・・・・・・
「頼む・・・・・・頼むから死んでくれ・・・・・・」
「おい!怖えな!」
「俺は真剣に悩んでるんだよ・・・・・・」
「そうだな〜・・・・・・俺なら断るかな・・・・・・?」
「何で・・・・・・?」
「何でって聞き返してくるお前が怖い・・・・・・だって男だぜ!?」
「でも、顔は香苗さんよかよっぽど可愛いぜ?」
「嘘つけ!香苗より可愛い生物はこの世に存在しねぇ!!」
「気持悪っ!」
「うるせぇよ!だけどホントのことだからしょうがない・・・・・・」
真剣にこんな事が言えるこいつがある意味うらやましい
いや、でもなりたくは無いな・・・・・・・・・
キーンコーンカーンコーン
突然予鈴が鳴り響く
「やべぇ!もうこんな時間か!」
一成は物凄いスピードで走り出していく
俺も急がねば・・・・・・
しかし体が言う事を聞かない
睡眠不足がモロに体にきている
ふらふらしながら走っていると、誰かが俺の手を引っ張っていく
「センパイ!急がないと遅刻しますよ!」
「薫!?」
「ほら早く!」
俺の手を引き颯爽と走る薫の横顔は・・・・・・とても可憐だった
・・・・・・・・・男だけど
「ここでお別れですね」
「そうだね・・・・・・うん、じゃあ!」
「あ、はい!ところでセンパイ今日の放課後のこと・・・・・・忘れないで下さいね」
「あ、うん。それじゃ!」
・・・・・・・・・
まだつないだ手のぬくもりが残っている・・・・・・
・・・・・・・・・
あぶねぇ!今、一瞬恋に落ちかけた!!
おい!しっかりしろ真音!あいつは男だぞ!
いや、でも愛に性別なんてノープロブレムって香苗さんも言ってたし・・・・・・
「おい、竹内!早く教室入れ!もうチャイム鳴ってるだろうが!!」
「あ、すいません・・・・・・」
慌てて教室に入る
折角間に合ったのに・・・・・・
ぼうっとしていたせいで担任に怒られてしまった・・・・・・
「真音くんが遅刻なんて珍しいね」
席に着くと隣の席の、美作が話しかけてきた
「・・・・・・まぁ色々あってね・・・・・」
「男の子に告白されたり?」
・・・・・・・・・凍りつく
美作の満面の笑みも目に入らない
「誰から聞いたの・・・・・・?」
「香苗先輩から!」
あの人は・・・・・・・・・悪魔だ
「で、どうするの?」
「まだ、わかんないよ・・・・・・」
「うち的には、付き合って欲しいかな!そういうの好きだし」
そう、この美作という女は俗に言う腐女子というやつで、BL(ボーイズラブ)が大好きなのだ
「めちゃくちゃ他人事だな・・・・・・」
「うん!だって他人事だもん!」
なんで俺の周りは・・・・・・
死んで欲しい人間ばかりなのだろう・・・・・・
あっという間に放課後が来てしまった
まだ結論は出ていない
というか、昨日一日悩んで出せなかったものを学校にいる数時間で出そうなんて考えが甘かった・・・・・・
やっぱあの作戦でいくかな・・・・・・・・・
ちょっとせこいが効果的な引き伸ばし作戦
題して「まだ君の事よく知らないからお友達から始めましょう」作戦
うん・・・・・・
これしかないよね・・・・・・
いや、だがあっちが俺のことをずっと好きでいてくれるという確証はない
お友達から始めてる間に薫が他の人を好きになるという可能性がある・・・・・・
どうする・・・・・・
俺はどうすればいいんだ・・・・・・
正直、今現在俺としては薫と付き合ってもいいかなという気分だ
だがしかし、俺にも世間体というものがある
男と付き合っているなんて知られたら・・・・・・
もう学校にはいられない・・・・・・
・・・・・・・・・
もうこんな時間か・・・・・・
行かなくては・・・・・・
体育館裏に着いたのだが、そこはいつものジメッとした空間では無かった
薫が空を見上げ佇んでいる
ただこれだけで、体育館裏は絵画の中から飛び出してきたような雰囲気になっていた
俺は、不覚にも見とれてしまった
俺の存在に気付いた薫が声を発す
「センパイ!居るんなら声かけて下さいよ!」
「あ、ああ。悪い。」
「・・・・・・それでセンパイ・・・・・・返事の方は・・・・・・」
・・・・・・・・・
さっき考えたとおり、引き伸ばし作戦でいこうと思った瞬間
今朝の薫の横顔を思い出す
そして先程の光景が頭をよぎる
・・・・・・・・・
「・・・・・・付き合ってもいいかな」
「・・・・・・・・・え?」
「付き合っても・・・・・・いいよ。」
「・・・・・・・・・ホントですか!?」
「うん・・・・・・ホントだ」
「ホントにホントですか!?」
「ホントにホントだ!」
薫が泣き崩れる
「お、おい!大丈夫!?」
「・・・・・・センパイと付き合えるのが嬉しくて・・・・・・」
薫は涙を拭いながら言う
「もう大丈夫です!センパイ、これからよろしくお願いします!」
「うん!こちらこそよろしく」
つまらない授業
教師のうるさい説教
親の意味の無い叱責
いつもと同じ日常
未だに人生の意義なんてものはさっぱりだ
だけどこのありふれた日常を好きな人と過ごせることはとても幸せである事は確かだ
・・・・・・それが男だとしてもだ!
「センパ〜イ」
遠くから薫の声が聞こえる
「わりぃ一成!薫に呼ばれてるから!んじゃな!」
多分俺の薫の元へ走り行く姿はみんなの目に嬉々としているように映っているだろう
2007.06.20 17:00 | 純愛 |
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