孫琳の個人書店

自作小説を公開していくだけの素朴なブログ

窓から見える午後4時は
朗らかに快活さを失っていた

そんな風流なことを言ってみる、乙女、14歳

そんな変なことを言うようになってしまった、原因
つまり、春人は
今日、学校に来たらボウズになっていた

ちゃら男、とまではいかないまでも、かなり長かった髪をばっさり切ったせいで
「春人失恋説」が流れる事になってしまった

まぁ噂といっても限りなく真実に近い噂のせいで
あれから三日間経った今日でも
みんなの好奇の目が、痛かった

ちなみに発信源は――――
「ねぇ〜乙女!一緒に帰ろっ!」

柚子が、自らの悪行を誤魔化しに来た

「・・・・・・うん」

「どしたの?元気ないね?」

原因の一部は、柚子にあるんだよ。と、言おうかなとも思ったけど
落ち込んでいるうちの心が、それをさせなかった

「それより、帰ろ」




「それで・・・・・・元気ない理由は?」

帰り道を二人して、とぼとぼ歩いていると、柚子が急に話を振ってきた

「え、元気?あるある」

無理やり笑顔を作ってみせる

「嘘つけ〜!」

ただ、嘘のスペシャリストには、うちのちゃっちい作り笑いなんて、通用しないみたいだ

「乙女が笑うときは、もっと可愛い!」

「え、ホント?」

「うん、誰にも害することのない、羊を思わせるような可愛さがある」

それって、褒めてんの・・・・・・?

まぁいいや

「あのさぁ・・・・・・春人、ボウズになっちゃったじゃん。うちのせいみたいで、何か、ね・・・・・・」

「え〜、でもそれって柚子が責任感じる必要ないんじゃない?」

「いや、そうなんだけどさ・・・・・・」

なんか胸にもやもやがひっかかる
もやもやだから引っかかるのかもしれないけど

少し、間をおいたあと、突然柚子が言葉を発した

「あ、わかった!乙女、実は春人くんのこと好きだったんじゃん?」

いきなりの台詞に、胸がどきりと鳴った

「そ、そんなことない・・・・・と思うけど・・・・・・」

「大体、なんで春人くんの告白断っちゃったの?」

うちから柚子に、まだ何も言ってないのに
さも、当然のように話す友人に、すこし恐怖を覚えながら
断った理由を思い出してみる

「こんないい加減な気持ちじゃ、春人の真っ直ぐな気持ちに失礼だ、って思ったのかな・・・・・・?」

「『かな』?」

「うちも良くわかんないんだよね・・・・・・」

「やっぱ好きなんじゃん?」

「・・・・・・・・・何でそうなんの・・・・・・?」

「自分の好きな気持ちわかってないんだよ、乙女は!」

柚子はピュアだな〜と勝手に決め付けて
遠い目をした、その時
柚子は誰かを見つけたのか、手を振り出した

「榊原く〜ん!」

あ、春人ね・・・・・・って春人っ!?

思わずうつむいてしまう

出来るだけ、本人だと悟られないように
必死に下を見続ける

頭の中が沸騰したようで、何も考えられない
あぁ、これも柚子が変なこと言うからだ!

「乙女・・・・・・・・・嘘だよ」

え・・・・・・・・・?
顔を上げると、周りには春人らしき人物は誰もいなかった

「あはははっ!乙女すごい顔赤くなってる!!」

柚子が、腹を抱えて笑い出した

悔しさ、恥かしさ、色んな感情が入り混じった複雑な感じだった
その感情がうちの意志を超えて、勝手に飛び出す

「赤くなんかなってない!」



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2008.03.26 20:50 | 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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