孫琳の個人書店

自作小説を公開していくだけの素朴なブログ

右手に持つ袋には大量のDVD
左手にはコンビニ弁当と、ネコの餌

たまの休日に、俺は何やってんだろ・・・・・・・・・・

泣きたくなる様な現実が、重みとなって両腕に負担をかけていた

だらける両腕をそのままに、とぼとぼ道を歩いていると
高校生集団が、校門の前で騒いでいるのが目に付いた

しかし、ただのドンちゃん騒ぎではなく
泣いている女もいれば、天を仰いで、喜びの感情を最大限に発している男もいる

不思議に思い出来るだけ、見つからないようにちらりと校門の中を覗くと
玄関のガラス戸に「第34期 卒業式」と書かれた紙が張ってあった

そうか
卒業式か

卒業式という単語が、頭の奥で心地良く響き渡る

だからといって、特に何のリアクションも示さないまま
校門の横を通り過ぎ、先ほどと同じペースで家に向かって歩いていく


「ただいま〜」

「おかえんさい。メシは買ってきはりました?」

「ちゃんと買ってきたよ」

「ほんならメシにしましょうや!」

こういう時だけ機嫌が良いな・・・・・・・・・
足に顔を摺り寄せたりして・・・・・・・・・・お前そんなキャラじゃないだろ

「ほら、はよう!」

にゃん、とだけ言うと彼女はとてとて定位置のベッドの上に歩いていった

「はいはい・・・・・・・・」

レジ袋から、弁当を取り出し、電子レンジに
温めている間に、サバ缶の用意をしてしまおう

きゅり きゅり
きゅり きゅり

缶きりをまわすタイミングに合わせて、微妙に体がリズムを取ってしまう

「まだですか〜・・・・・って、何してるんですか・・・・・・・きしょお・・・・・・・・」

待ちきれなかったのか、いつの間にやら彼女は怪訝な顔をして俺を見上げていた

「いいじゃん・・・・・・・俺だって上機嫌な時はあるんだよ。ほら」

綺麗に開き切ったサバ缶を見せ付けると
急に彼女は顔をほころばせた

「今日はサバですか・・・・・・・・兄さん、わかっとりますやん」

現金なもんだ

電子レンジの中から温め終わった弁当を取り出し
サバ缶を床に、弁当を机に置き、両手を合わせる

「いただきます」

横では「にゃん」と発せられ
二人して、飯に取り掛かる

部屋でには食物を咀嚼する音だけが、鳴っていた

白米を口に運びながら、ふと、言葉が口をついて出る

「卒業式、か・・・・・・・・・・」

「・・・・・はぐ・・・・・・はぐ・・・・・・・・」

彼女は、俺が発した意味ありげな台詞には眼中もくれず
サバ缶に全神経を注いでいる

「あ〜ぁ。卒業式か〜!」

「・・・・・・・はぐ・・・・・・・はぐ・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・

彼女が味の余韻に浸り、隙を見せる一瞬
その一瞬をついて、サバ缶を取り上げた

「な、何すんねん!」

彼女は怒りとも驚きとも取れる表情で、こちらを睨んでいる

「卒業式か〜。いや〜、思い出されるな〜」

「・・・・・・はいはい。何か語りたいんでっしゃろ・・・・・・・・・聞きます」

「よろしい」

サバ缶を定位置に置くと、彼女は先程よりは少し、ペースを落とし、食べ始める

「俺さ、高校の時、一つ上の部活の先輩が好きだったんだ」

「・・・・・・・・はぐ・・・・・・・・はぐ・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・聞いてる?」

「聞いてますて!」
彼女がこちらを睨む

「それでさ、その先輩が卒業する時、俺思いきって『第二ボタン下さい!』って言ったんだよね」

「・・・・・・・それで、もらえたんですか?」

「うんにゃ」

「え?」

「もうすでに、取られた後だったんだよ」

「誰かとお付き合いしてはったんですか?」

「いや、そんな噂は聞かなかったけど。でもまぁ誰かにあげたんだろうな」

「へ〜・・・・・・・それで?」

「しょうがないからさ『すいませんでした』って言って、帰ろうと思ったその時。先輩がさ『第二ボタンもらえませんか?』って言ってきたんだよね」

「何ですかそれ?」

「いや、俺も状況つかめなかったんだけどさ、言われるがまま自分の第二ボタンを引きちぎり、先輩に手渡したんだ。そしたらさ、先輩『これで、君の事忘れないね』って言って、空いた第二ボタンのとこに、くっつける素振りをしてくれたんだよね」

「へ〜!両思いやったんですか?」

「まさか」

「へ?」

「先輩が俺に対して、恋愛感情を抱いていないのは知ってたさ。多分、先輩のあの一言は単なる優しさだったんだろうな」

「へ〜・・・・・・・それで?」

「ん?それで、って?」

「え!?続き無いんですか!?」

「無いよ、そんなもん」

「そんなら、ただ単に『憐れみをかけられた可哀想な男の話』やないですか!」

「ふっ・・・・・・・・お前、人間の恋愛ってのをわかってないな」

「そんなん・・・・・・・・・だって僕ネコですもん」

そりゃ、そうか












いかがだったでしょうか
え〜この作品は「猫」「ネコと一緒〜バレンタイン編〜」の続編ですので
それを読んでいただいて無い方には、少しわかりづらい部分も多々あると思います

「よくわからない短編集」の方にありますので
あわせて、どうぞ

それと、後半、このネコ喋りまくりですが
一応、主人公主観ということで(笑)

・・・・・・・・く、苦しい

2008.03.13 22:01 | 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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